エネルギー代謝測定試験

ヒューマンカロリーメーターを使ったエネルギー代謝測定試験

 

ヒューマンカロリーメーターは人の24時間の代謝試験に用いられてきました。近年日本では高精度のカロリーメーターを使用して短時間から長時間の各種の試験が行われています。

欧米の装置に比較し測定精度の解析が優れる点が大きな特徴です。日常生活に近い状態で長時間測定が出来、再現性の高さから繰り返し測定を行うことにより試験を比較することが出来ます。日本のヒューマンカロリーメーターは全て弊社の装置が採用されています。

試験目的の明確化

測定の目的を明確にし、試験時間を決定します。24時間の代謝量を求めるのか、又は短時間で特定の代謝量を求める測定を行うのかを明確にした上で、下記の事項に注意し試験デザインを決定します。 下記のような行動は代謝量に影響が出るため、注意が必要となります。

  • DIT-食事の影響食事を行うと消化などの為に内臓が活発に活動します。このDIT(食後誘導性熱産生)は食後約4~5時間持続すると言われており、食後の行動には注意が必要です。
  • 短時間の運動によるアルゴリズムの影響国際的に利用されているHenningアルゴリズムを使用したデータ解析を多く実施しております。また試験の目的に併せて他のアルゴリズムも使用して、総合的に評価を行っています

試験デザイン

目的に合わせた試験デザインを作成します。時間帯によって代謝量の変動があります運動をする場合は代謝を詳細に検討する為に運動前後で45分の安静時間を取ります。試験後はChamber内の上昇したCO2を大気濃度に戻すため、30分程度の換気時間が必須です。また2回目の被験者は、DITの影響を防ぐため昼食は試験後に摂取する必要があります

試験の準備

  • 背景調査 年齢、性別など
  • 理学検査 身体的特徴、エネルギー代謝など
  • 血液・尿検査
  • 食事調査 写真法による自記式食事記録
  • 活動量調査 ライフコーダの装着練習メニューの記録による

 

入室前の活動記録代謝量は前日からの活動・食事の影響を受けるため、被験者には前日からの活動を記録して頂く必要があります。データに客観性があり、可能な限り被験者の負担にならない方法で記録します。(例:ライフコーダ)試験目的によって当日はカロリーコントロールされた朝食を取り、試験場所までの移動手段は公共交通機関に統一する等、被験者の行動・食事内容を統一する必要があります。代謝には個人差があり、前日の食事量や活動量によっても当日の代謝量は大きく変化するため、被験者の前日の行動には特に注意が必要です。

 
  • 衣服、履物 代謝試験に使用する衣類は事前に決めておき、被験者に合うサイズのものを準備
  • 食事 エネルギー[kcal]や種類を検討したメニューを用意します。
  • 運動
  • 必要な道具。試験に必要な測定機器類
  • 試験中の行動記録をメモするためのノート。
  • 鑑賞用のDVDや読書など、安静時に行うもの。誰にでも苦痛ではなく、眠くならないものを用意します。試験デザインに沿って行動時間を知らせてくれるタイマー付時計や携帯など。
  • 試験中の給水、体を拭くタオルなどできる限り被験者の行動による誤差をなくすことが大切です。特に運動後は眠くなるため、事前に行動を決めて準備しておくことが重要です。

POINT

被験者がChamberに慣れることが重要

被験者がChamberでの生活に慣れていない状態で試験を行うとChamber内の換気量や密閉空間によるストレス等から代謝量が正確に測定できない事があります。発汗量の差異による代謝の誤差を防ぐため、Chamber内では被験者に同じ衣類を着用して頂く必要があります。予備試験中に寒さを感じた場合は、予備の上着を用意し着用して頂きます。正確な測定を行う為には予備試験が必要で、可能な限り被験者がChamberの環境に慣れることが重要になります。弊社テクニカルセンターには2台のチャンバーを設置してあります。試験開始までの時間を利用し、簡単な予備試験の実施が可能です。

 

試験に必要なもの

試験時の注意点

  • 被験者の安全管理の為、被験者は安全管理の為に心拍計を装着し、必ず験者立会いの下に代謝試験を行います。
  • 安全管理と非常時の通報体制を明確にし、緊急時体制表を作成し掲示しています。
  • 安静時代謝試験は被験者の安静の姿勢・状況が結果を左右します。心拍計の数値を参考に安静状態を管理します。
  • 被験者は試験モデルに沿って行動し、出来る限り余分な行動は行わないことが大切です。
  • 被験者の微量な動きに対しても代謝量を測定できてしまうため、立ち上がったり伸びをしたり等、軽度の動きでも時間と行動内容をノートに記入しておくことが評価の際重要になります。